「訪問介護の生活援助を利用できる条件は?」
「具体的にどんなサービスが受けられるの?」
そんな疑問や不安を解決します!
訪問介護を利用したいけど、利用するまでの流れがわからないし、まず何をしたらいいの?って思いますよね。
生活援助の利用条件を知らず利用しないままでいると、自宅での日常生活が困難になり、健康状態が悪化することも。
この記事では、生活援助の内容から利用条件、料金、信頼できる事業者の選び方まで、幅広く解説します。
生活援助を利用して、自宅での生活を安心して続けましょう。
訪問介護の生活援助とは?
訪問介護の生活援助とは、主に日常生活を送る上で必要なことをサポートするサービスです。
これには、料理や掃除、洗濯といった家事全般が含まれます。
また、買い物や薬の受け取りもお願いすることができます。
例えば、料理が難しい高齢者の方には、食材の切り込みから調理、片付けまでをサポートします。
これにより、栄養バランスの取れた食事を摂ることができ、健康状態を維持できます。
一方で、料理を作ってもらうばかりだと、今までできていた自炊のスキルが低下するというデメリットもあります。
これを防ぐためには、サポートを受けつつも、できる範囲で自炊を続けることが重要です。
このように、訪問介護の生活援助は、日常生活を送る上で自分で全て行うことが難しい部分を支援してもらえます。
生活援助を利用するための条件
訪問介護の生活援助を利用するためには、2つの条件を満たす必要があります。
この章では、要介護認定と同居家族の、以下2つの条件について説明します。
要介護認定
まず、要介護認定を受けていないと訪問介護を利用することはできません。
要介護認定とは介護が必要な程度を公的に評価するもので、この評価に基づいて利用できるサービスが決まります。
要介護認定を受けるためには、市町村への申請が必要で、調査の後、自立、要支援1・2、要介護1~5段階のいずれかになります。
この中でも、訪問介護の生活援助が利用できるのは要介護1~5になった場合です。
自立、要支援1・2の場合は各自治体が主体の総合事業で訪問サービスを受けることができます。
総合事業のサービス内容は自治体ごとに異なりますので、ホームページ等で確認すると良いでしょう。
同居家族
同居家族がいる場合、基本的に生活援助を利用することはできません。
なぜなら、同居する家族が家事を行うことができるためです。
しかし、例外もあります。
同居する家族が障害や疾病により家事を行うことが難しい場合は、生活援助を利用することができます。
生活援助を利用するまでの流れ
生活援助を利用するためには、要介護認定を受けることから始まり、ケアプランの作成、訪問介護事業者との契約といった手順を経る必要があります。
この章では、生活援助を利用するまでの流れについて、ステップごとに解説します。
1.要介護認定を受ける
生活援助を利用するための最初のステップは、要介護認定を受けることです。
申請は市町村を通じて行い、専門の評価員による調査が行われます。
まずは、役所の福祉課などの部署や地域包括支援センターに要介護認定の申請方法を聞いてみましょう。
要介護認定を受けるまでの流れは以下の通りです。
①市町村の窓口で申請
申請には、介護保険被保険者証が必要です。
②認定調査
市区町村等の調査員が訪問し、心身の状態を確認するための調査を行います。
このとき、市区町村から主治医にも主治医意見書の作成が依頼されます。
③審査
一次判定:コンピューターに調査結果を入力し、全国一律の判定方法で要介護度が判定されます。
二次判定:介護認定審査会による要介護度の判定が行われます。
④認定
申請者に結果が通知されます。
要介護認定を受けるまでには約1ヶ月かかりますので、訪問介護の利用を検討しているなら、早めに申請することが大切です。
2.ケアプランを作成してもらう
要介護認定を受けたら、次はケアプランの作成です。
ケアプランは、ご利用者様の状態やニーズに合わせた介護サービスの計画を立てるもので、ケアマネージャーが作成します。
どのようなサービスをどれだけ利用するかが記載されており、ご利用者様とご家族様に希望するサービスを伺い、相談した上で作成されます。
3.訪問介護事業者と契約する
ケアプランが完成したら、最後に訪問介護事業者との契約を行います。
事業者選びは非常に重要で、評判や口コミ、提供されるサービスの内容などを自分でも調べ、信頼できるところを選ぶ必要があります。
契約後は、ケアプランの計画通りにサービスが提供され、生活援助を受けることができます。
生活援助の内容
この章では、生活援助の具体的な内容を解説します。
主に行われる
- 料理
- 掃除
- 洗濯
- 衣服の補修
- 買い物
- 薬の受け取り
について一つ一つ見ていきましょう。
料理
料理は日常生活に欠かせないもので、栄養バランスの取れた食事を摂ることで健康を維持することができます。
ここでは、生活援助で依頼できる料理の具体的内容を紹介します。
・食材の下ごしらえ: 野菜の洗浄やカット、肉や魚の下処理など調理の準備をします。
・調理: 下ごしらえが終わった食材を使って、料理を行います。
この際、ご利用者様の健康状態や好みに合わせた味付けにしてもらうこともできます。
・片付け: 使用した調理器具の洗浄や、調理スペースの清掃をします。
料理のサポートを受けることで、栄養バランスの取れた食事を摂ることができ、健康維持にも繋がります。
しかし、料理のスキルが低下しないよう、できる範囲で自炊を続けることも重要です。
掃除
生活援助の掃除は、健康や心の安定に直結する重要な要素です。
特に高齢者や障害を持つ方々にとって、清潔な環境は生活の質を大きく左右します。
感染症の予防やアレルギーの発症リスクを低減させるためにも身の回りの掃除は必要です。
また、散らかった部屋は転倒のリスクもあります。
生活援助の掃除は、単に部屋を綺麗にするだけでなく、健康や安全を守るための重要な役割を果たします。
しかし、客室やご家族様の部屋はご利用者様本人のための掃除とは言えないため、依頼できないことに注意しましょう。
洗濯
清潔な衣服は日常生活を快適に過ごすために不可欠であり、そのためには定期的な洗濯が必要です。
洗濯は色や素材に応じて分別して洗い、干してもらうことができます。
取り込むときには必要に応じてアイロンがけをお願いすることも可能です。
また、衣服だけでなく、ご利用者様本人のものであれば、シーツも洗濯してもらえます。
清潔な衣服や寝具は、皮膚の健康や快適な睡眠にも関わりますので、自分でできない範囲は生活援助を利用しましょう。
衣服の補修
生活援助では、簡単な衣服の補修をしてもらうこともできます。
どの程度お願いできるのか見てみましょう。
- 生活援助でできる衣服の補修
・ボタンの付け替え:衣服のボタンが取れた場合、付けてもらうことができます。
・ほつれの修繕:衣服がほつれている場合、その部分を縫い直して修繕します。
・破れの修繕:少しの破れであれば、その部分を縫い合わせて修繕します。
- 生活援助でできない衣服の補修
・一定の技術を必要とする大掛かりな補修:衣服の仕立て直しや裾上げはできません。
・補修できないほど損傷している衣服:大きく破れているなど補修できないほどの損傷には対応できません。
生活援助の衣服の補修を利用することで、長く愛用している衣服や大切な衣服を使い続けることができます。
買い物
日常生活を送る上で、食料品や日用品の購入は欠かせません。
訪問介護の生活援助では買い物を依頼することができます。
しかし、購入できないものもあるので注意が必要です。
例えば、自分の生活に必要な食料品や日用品の購入をお願いし、代金を渡して買ってきてもらうことはできます。
反対に、お酒などの嗜好品や、来客用の茶菓子などはご利用者様自身の生活に必要とは言えないので、買ってもらうことはできません。
また、安く買えるからと遠くのスーパーに行ってもらうこともできません。
生活援助の買い物では、生活範囲内のスーパーなどでご利用者様自身の生活に必要なものの購入を依頼できます。
また、外出が可能な場合は、できるだけ自分で買い物をすることで、外出の機会を持ち、身体機能を維持するよう心がけましょう。
薬の受け取り
高齢になると服用する薬も増え、薬局に受け取りに行かなければならない機会もあります。
訪問介護の生活援助では薬の受け取りもお願いすることができます。
しかし、介護士が行えるのは処方箋に基づく薬の受け取りのみです。
受け取った薬をお薬カレンダーに入れることは服薬管理となり、看護師や薬剤師などの資格を持った人しか行えません。
薬に関わるサービスでは、医療行為にあたる部分は介護士には行えないので注意が必要です。
生活援助の利用に回数制限はある?
生活援助は基本的にケアプランに基づいて利用することになりますが、利用回数は月ごとに上限が決められています。
要介護度と利用できる回数は以下の通りです。
要介護度 | 回数上限/月 |
要介護1 | 27回 |
要介護2 | 34回 |
要介護3 | 43回 |
要介護4 | 38回 |
要介護5 | 31回 |
一日の訪問回数に制限はないので、必要に応じて複数回訪問してもらうことも可能です。
また、状況の変化に応じてケアプランの見直しをしてもらうことで、常に必要な分のサービスを受けることができます。
生活援助の料金
生活援助の利用料金は単位数で決まっています。
単位数は以下の通りです。
生活援助中心型 | |
20分以上45分未満 | 183単位 |
45分以上 | 225単位 |
1割負担の場合は単位数がそのまま料金の目安になります。
例えば20分以上45分未満のサービスを1回受けると183円の自己負担額が発生します。
事業所により料金設定が異なることがありますので、ホームページなどで確認しましょう。
また、所得により2~3割負担になることもあります。
例えば、65歳以上の一人暮らしの方の場合、以下のように自己負担割合が変わります。
負担割合 | 年間所得 |
1割 | 280万円未満 |
2割 | 280万円~340万円未満 |
3割 | 340万円以上 |
生活援助のサービスを選ぶ際は、自身のニーズと合わせ、かかる料金も知っておく必要があります。
訪問介護事業者の選び方
この章では、訪問介護事業者の選び方を紹介します。
選ぶ際に見るべきポイントは
- 評判や口コミ
- 事業所の特徴
- スタッフとの相性
の3つです。
一つ一つ詳しく解説します。
事業所の評判や口コミを調べる
訪問介護事業者を選ぶ際、事業所の評判や口コミは非常に重要な情報源となります。
インターネット上の評価サイトや口コミをチェックすることで、実際のご利用者様の声を聞くことができます。
ただし、すべての口コミが正確であるとは限らないため、複数の情報源を参照し、総合的に判断することが重要です。
また、古い情報よりも、最近の評判や口コミを重視しましょう。
事業所のサービス内容やスタッフは時間とともに変わる可能性があります。
事業所の評判や口コミを調べる際は、複数の情報源から最新の情報を集め、バランスの取れた判断を心がけることが重要です。
事業所の特徴を調べる
訪問介護事業所を選ぶ際には、その事業所が持つ特徴を理解することが重要です。
事業所によって提供されるサービスの内容や質、スタッフの専門性などが異なります。
自身のニーズに合った事業所を選ぶためには、事業所の特徴をしっかりと把握する必要があります。
見るべきポイントは以下の3つです。
・事業所のサービス内容:どのようなサービスを提供しているか
・スタッフの専門性:スタッフの資格や経験、専門性はどの程度か
・サービスの質:サービスの質は高いか、他のご利用者様の満足度はどの程度か
調べるのが難しい場合はケアマネージャーに聞きましょう。
また、パンフレット等をもらって比較してみても良いかもしれません。
事業所の特徴をしっかりと調査し、最適な訪問介護サービスを受けられるようにしましょう。
スタッフとの相性を確認する
訪問介護サービスを利用する際、スタッフとの相性は非常に重要な要素です。
良好な関係を築くことで、サービスの質が向上し、満足度も高まります。
事業所によっては、サービス開始前にスタッフとの面談が可能な場合がありますので、会って話してみることをオススメします。
その際、スタッフを信頼し、安心してサービスを受けられるか、スタッフの人柄や価値観が合うかを見ることがポイントです。
スタッフとの相性を確認し、安心して訪問介護サービスを受けられる環境を整えましょう。
まとめ
訪問介護の生活援助について、その利用条件から具体的なサービス内容、事業者の選び方まで、詳しく解説しました。
この情報があなたやあなたの大切な人の生活を支え、より良い選択をする助けとなれば幸いです。
生活援助の利用条件や受けるまでの流れ、具体的なサービス内容を知ることで、安心してサービスを利用できるはずです。
介護は決して一人で抱えるものではありません。
適切なサポートを受けながら、自宅での生活を続けましょう。