訪問介護でご利用者様を訪ねた時に「家族のごはんも作ってほしいわ~」って頼まれたけど…。
これってやってもいいんだっけ?
他にもペットの餌やりや買い物など、悩むシーンに遭遇することってありますよね。
やってはいけないことをした場合、罰則があることも!
そこで今回は訪問介護でできることとできないことをわかりやすく解説します!
知っておくとご利用者様になにか頼まれたときも迷いません!
訪問介護とは?
訪問介護とは、ご利用者様が自宅で安心して生活を続けるためのサポートをするサービスの一つです。
このサービスは、介護が必要な方が自宅の環境で日常生活を送ることができるように、介護士が定期的にご自宅を訪れて様々なサポートを行います。
訪問介護について詳しくはこちら(リンク先は只今準備中)
訪問介護でできること
訪問介護は、自宅での生活を支えるための多岐にわたるサポートを提供するサービスです。
この章では
- 身体介護
- 生活援助
- 医療行為
の3つそれぞれのできることを紹介します。
身体介護
訪問介護の中で非常に重要な役割を果たすのが「身体介護」です。
身体介護は、日常生活の中での身体的なサポートを指し、ご利用者様の自宅での生活を支える基盤となります。
高齢化が進む現代社会において、多くの人々が自宅での生活を継続したいと考えています。
しかし、年齢や障害により、日常の動作が難しくなることも。
このような場面で、身体介護のサポートが不可欠となります。
身体介護の主な内容は、以下の通りです。
入浴のサポート: 入浴は日常生活の中でのリフレッシュの場となります。年齢や障害により、一人での入浴が難しくなると、介護士が安全に入浴できるようサポートします。
排泄の補助: トイレの使用やおむつの交換など、プライバシーを重視しながら適切にサポートを行います。
着替えの補助: 麻痺などがあり服の着脱が難しい場合、介護士が補助を行います。
移動のサポート: ベッドと車椅子の間の移動や、室内での移動など、安全に移動できるようサポートします。
身体介護においてはご利用者様の意向や生活リズムを尊重し、柔軟にサポートを提供することが求められます。
身体介護は、訪問介護の中でも特に専門的な知識や技術が求められる部分です。
そのため、研修を受講したり資格を取得することが必要となります。
ご利用者様やご家族様も、介護士の資格や経験を確認することで、安心してサービスを受けることができます。
生活援助
訪問介護のサービスの中で、日常生活をスムーズに進めるための大切なサポートが「生活援助」です。
生活援助は、日常の家事など身の回りのサポートを提供するもので、ご利用者様が自宅での生活を快適に過ごすために必要なサービスです。
生活援助の主な内容は、以下の通りです。
食事の準備: 特定の食事制限やアレルギー、料理の硬さを考慮した食事を準備します。
掃除:本人の身の回りの掃除をします。清潔な生活環境は、ご利用者様の心身の健康を維持するためにも重要です。
洗濯: 本人の衣服やシーツを洗濯します。必要な場合はアイロンがけも行います。
買い物の代行: 必要な日用品や食材の購入をサポートします。利用者の希望やニーズに合わせて、買い物の代行や同行を行います。
生活援助は、訪問介護の中でも特に日常生活に密接に関わる部分です。
そのため、ご利用者様とのコミュニケーションが非常に重要となります。
定期的なヒアリングやフィードバックを通じて、サービスの質を向上させることが大切です。
医療行為
訪問介護の中で特に専門的な知識が求められるのが「医療行為」の部分です。
訪問介護における医療行為は、できる範囲が限られており、医師や看護師との連携が必要なこともあります。
医療行為の主な内容としては、以下の通りです。
簡単なリハビリテーション: ご利用者様が食事や着替えなどをご自身で行えるよう自立を支援します。見守りや適切な介助でサポートする生活リハビリです。
服薬介助: 医師や看護師の指示のもと、一包化された薬などの服薬介助をします。
バイタルサインのチェック: 体温、脈拍、血圧などの基本的なバイタルサインを定期的にチェックし、異常があれば速やかに医師や看護師に連絡します。
喀痰吸引: 吸引器を使って痰や唾液を吸い取ること。特定の研修を受けた介護士ができる医療行為。
経管栄養: 鼻や胃、腸に挿入した管から栄養剤を注入すること。特定の研修を受けた介護士ができる医療行為。
訪問介護における医療行為は、専門的な知識や技術が必要です。
医療行為は、訪問介護の中でも特にできることとできないことを知っておく必要がある部分となります。
訪問介護でできないこと
自宅での生活を続けるご利用者様にとって、なくてはならない訪問介護ですが、対応できないこともあります。
この章では
- 身体介護
- 生活援助
- 医療行為
の3つそれぞれのできないことを紹介します。
身体介護
訪問介護の中でご利用者様の生活を直接サポートするのが身体介護の役割です。
入浴や排泄、食事や移動などのサポートをしますが、中にはできないこともあります。
身体介護でできないことは以下の通りです。
散髪: ご利用者様自身の散髪であっても日常生活に必要なことに含まれません。
マッサージ: 医師の診断書などにより医療保険が適用されるサービスです。
趣味や散歩のための移動: 老人会への参加や散歩のための移動サポートはできません。
身体介護の範囲内で行えない行為を理解し、適切なサポートをすることは、ご利用者様の健康や安全を守るために非常に重要です。
生活援助
訪問介護の中でも生活援助は日常の家事や生活全般のサポートです。
この家事や生活サポートにも訪問介護ではできないことがあります。
生活援助でできないことは以下の通りです。
ご利用者様以外の方への家事: 料理や洗濯など、ご家族様の分も行うことはできません。ご利用者様が使用していない部屋の掃除もできません。
大がかりな家事: 庭の草むしりや花壇の手入れ、おせち料理などの特別な調理、家屋の修理・ペンキ塗りなど大がかりなことはできません。
日常生活に必要のない買い物: お酒やたばこなどの嗜好品の購入、お歳暮や来客用のお茶菓子などの購入はできません。
金銭の管理: 訪問介護では金銭管理をすることはできません。
トラブルを防ぐためにも生活援助の範囲内で行えない行為を理解しましょう。
医療行為
訪問介護の中でも「医療行為」は特に注意が必要な領域となります。
介護士は医療行為を行うことができません。
医師以外が医療行為を行えないことは医師法に明記されており、違反すると罰金などが課せられます。
医療行為は、専門的な知識や技術を要し、それを行うには医師の資格が必要とされるからです。
訪問介護の主な役割は、日常生活のサポートであり、医療的な判断や治療はその範囲外となります。
訪問介護でできない医療行為は以下の通りです。
注射や点滴: インスリン注射などご利用者様への声かけや見守りはできますが、注射を本人の代わりに介護士が行うことはできません。
薬の調整や変更: 薬の調整や変更は、医師の指示が必要です。
褥瘡の処置: 軽微なケガなど専門的な判断や技術を必要としない処置を行うことはできますが、褥瘡の処置はできません。
医療行為が必要な場合は、それぞれの専門家や医療機関との連携する必要があります。
ご利用者様が自宅で安心して過ごせるよう、介護士が行えない医療行為を理解し、適切なサポートをしましょう。
訪問介護でできる事できない事一覧
訪問介護でできるサービスには範囲があり、できることとできないことがあります。
この章では訪問介護でできることとできないことの一覧を紹介します。
できること | できないこと |
身体介護 | |
排せつ介助…トイレへの誘導、脱衣、おむつ交換など 食事介助…配膳、摂食介助、下膳など 入浴介助…全身浴、部分浴、洗髪、清拭など 更衣介助…着替えの準備、脱衣、着衣 体位変換…仰臥位から側臥位、側臥位から仰臥位など 移動介助…車いすへの移乗、車いすを押すなど 服薬介助…水の準備、配剤された薬の確認など |
散髪 マッサージ 趣味や散歩のための移動介助 |
生活援助 | |
掃除…ご利用者様の居室内やトイレ、卓上の清掃、ゴミ出しなど 洗濯…洗濯機や手洗いでの洗濯、干す、取り込む、アイロンがけなど 衣類の補修…ボタン付け、破れの補修など 調理…ご利用者様本人のための一般的な調理 買い物…日用品や食材の購入、薬の受け取り |
掃除…ご家族様の居室などご利用者様が使用しない場所の掃除 洗濯…ご利用者様以外の衣類の洗濯 衣類の補修…裾上げや仕立て直しなどの大がかりな補修 調理…おせち料理や恵方巻など季節ごとの料理 買い物…お酒やたばこなどの嗜好品、お歳暮や来客用のお茶菓子など |
医療行為 | |
体温測定 血圧測定…数値のチェックのみ。助言に関しては禁止。 パルスオキシメーターの使用 傷の処置…軽い擦り傷や切り傷、やけどなどの処置。ただし、火傷の水ぶくれを破る、剥がれた皮膚を切るなどの行為は禁止。 医薬品使用の手伝い…皮膚への軟膏の塗布、皮膚への湿布の貼付、点眼薬の点眼、一包化された内用薬の内服、肛門からの坐薬挿入、鼻腔粘膜への薬剤噴霧。 口腔ケア…重度の歯周病などがない場合 爪切り…巻き爪や陥入爪、爪白癬でない場合 耳かき…耳垢栓塞の除去は禁止 パウチに溜まった排泄物の処理 喀痰吸引・経管栄養の実施(特定の研修を受講した介護士のみ) インスリン注射のサポート…声かけや準備、片付けなど 浣腸の挿入…種類に規定あり |
インスリンの注射 在宅酸素の管理 人工呼吸器の管理 血糖の測定 床ずれの処置 中心静脈栄養 ストーマ装置の交換…フランジや面板等の除去・貼り替え 摘便 カテーテル挿入 |
できないことを頼まれたときは
この章では、訪問介護でできないことを頼まれた際の対応方法について詳しく解説します。
できないことをやってしまった場合
訪問介護でできないことをしてしまった場合、まずはすぐに上司に報告しましょう。
特に医療行為に関しては罰則がありますし、ご利用者様の命に関わることもあるかもしれません。
普段から医師や看護師と連携し、できない医療行為はしないよう心がけることが大切です。
できないことの断り方
「できないこと」を断る際は、明確かつ丁寧に理由を伝えることが大切です。
それが医療行為の場合は、違法行為になることを伝え、できないことを理解していただきます。
「私は医療行為の一部しか行えませんので、この処置は医師にお願いする必要があります」などと正確な説明をすることで、ご利用者様に安心感を与えることができます。
例えば「せっかくお風呂に入るから、お風呂の前に散髪もしてほしいんだけど…」といったお願いをされることがあります。
その時は『私たちは理容の行為はできないことになっていますので、申し訳ありませんが、髪の毛を切ることはできません。ただ、お風呂の前にご家族や専門の方が切ってくれた後に訪問入浴で頭を洗うことはできますよ。』とお断りさせていただいています。
提案できること
「できないこと」を断った際、代替として提案できるサービスや行為を知っておくことが有効です。
例えば「便秘気味だからマッサージをしてほしい」とのご利用者様の希望に対し、「マッサージはできませんが、お腹を温めましょう」と言うことで、できないことを伝えつつできることをします。
他にも「いつも使ってるT字のカミソリで髭剃ってよ」といったお願いをされることもあります。
この場合は『申し訳ありませんが、私たちは刃物を使う行為はできません。電動の髭剃りでしたらお手伝いできますよ。』と可能な範囲の代案を出すような対応をしています。
また、医療行為が必要な場合には、医師や看護師と連携する。
大がかりな掃除や趣味の外出の付き添いなどには自費サービスを提案します。
代替案を提案するには情報収集することが大切です。
自費サービスを展開する業者を調べたり、地域の社会資源について包括支援センターにたずねたりしましょう。
正しい知識と対応力を身につけることで、ご利用者様との信頼関係を築くことができます。
まとめ:信頼関係の構築が鍵
訪問介護の現場は、日々さまざまな要望や状況に直面しますよね。
この記事を通して、介護士としてどんなことができるのか、どんなことを断らなければならないのか、そしてその際の適切な対応方法について学ぶことができました。
特に「できないこと」を頼まれたときの対応は、ご利用者様との信頼関係を築く上で非常に重要です。
正しい知識を持つことで、ご利用者様の安全と信頼を守ることができるのです。
この記事を読んで、訪問介護の現場で自信や安心感を持って対応できるようになったのではないでしょうか。
あなたの日々の業務が、この情報を元にさらにスムーズに、そしてご利用者様にとっても安心できるものとなることを心から願っています。